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先人たちの知恵を受け継ぐ…天然の接着剤
無添加住宅は、木材の貼り合わせなどに使うのり(糊)すべてを、手づくりの米のりにしています。昔の大工さんは、朝一番、飯を木板の上で竹ベラでこねるのが仕事だったそうです。実際に米のりの接着力は強く、実験でも木工用ボンドとぼぼ同じ強度でした。にかわは、動物の骨や皮を煮て精製してできるゼラチンです。にかわ=ゼラチン=コラーゲンなのをご存知でしょうか。現在では、食品や化粧品などに広く利用されていますが、昔は接着剤としても使われていました。にかわは高温では液状ですが低温では固形になる特性があり、それを活用するのです。米のりは接着するまでに1日以上かかりますが、にかわはたった5秒で接着できる、すばらしい瞬間接着剤だったのです。窓枠の取り付けなどに、大変重宝しています。そのほか、和室の壁は、ぎんなん草という海草を煮詰めドロドロにしたものと、ふるいにかけて天日干しにした山土と、アサギ粘土を混ぜたもので、雰囲気のある緑がかった土色をしています。ぎんなん草を煮詰めた液が、ふのりなのです。ふのりは、接着力が弱く水に溶けやすいのが特徴で、障子にも使われていました。水に濡れるとたちまち溶けて容易に剥がせるのです。このように、昔の人は自然の素材でつくる接着剤を使い分けていたことを、現代の私たちが伝えていくべきであると思います。
 
 
米糊は日本では奈良時代のころから建具や家具の接着剤として「続飯(そくい)」と呼ばれて使われだしたようです。当時はきっと高価なものだったんでしょうね。にかわは仏教が伝来して以来、日本では獣肉を食べることがタブー視されていたため、使用しなかった時期もありましたが、日本書紀に記されたところによると、推古18年に、墨を作るために使われたようです。その後は木や竹を貼り合わせる糊として使用されたり、画材としても使われてきました。原料となる動物(牛・鹿・兎)によって、接着力が違うんです。ぎんなん草というのは海草の一種です。食用になりますし、確かな記述はありませんが、アイヌの人たちが昔から食用としていたようです。北海道の留萌では、仏の耳とも呼ばれ、味噌汁の具として、一般にも出回っているようです。
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