無添加住宅は、木材の貼り合わせなどに使うのり(糊)すべてを、手づくりの米のりにしています。昔の大工さんは、朝一番、飯を木板の上で竹ベラでこねるのが仕事だったそうです。実際に米のりの接着力は強く、実験でも木工用ボンドとぼぼ同じ強度でした。にかわは、動物の骨や皮を煮て精製してできるゼラチンです。にかわ=ゼラチン=コラーゲンなのをご存知でしょうか。現在では、食品や化粧品などに広く利用されていますが、昔は接着剤としても使われていました。にかわは高温では液状ですが低温では固形になる特性があり、それを活用するのです。米のりは接着するまでに1日以上かかりますが、にかわはたった5秒で接着できる、すばらしい瞬間接着剤だったのです。窓枠の取り付けなどに、大変重宝しています。そのほか、和室の壁は、ぎんなん草という海草を煮詰めドロドロにしたものと、ふるいにかけて天日干しにした山土と、アサギ粘土を混ぜたもので、雰囲気のある緑がかった土色をしています。ぎんなん草を煮詰めた液が、ふのりなのです。ふのりは、接着力が弱く水に溶けやすいのが特徴で、障子にも使われていました。水に濡れるとたちまち溶けて容易に剥がせるのです。このように、昔の人は自然の素材でつくる接着剤を使い分けていたことを、現代の私たちが伝えていくべきであると思います。 |