近年、屋根材といえば、人工スレートが主流です。この材料はセメントと石綿です。石綿はアスベストではないのですが、両方とも構造的によく似ていますので、体にいいはずがないと思われます。そこで、天然素材の屋根ができないものかと国内外で探しました。スペインとフランスの間にアンドーラという国があります。ピレネー山脈の高地に位置する自然に恵まれた環境と、豊富な天然粘板岩が産出する地方ゆえに、現地の家の屋根がすべて天然石で葺かれているのです。しかも、築後300年経った家でもまったく美観を損なわず存在し続けるのを見て、「これだ」と思い、日本で石を葺いてみたのです。試行錯誤を繰り返し、釘で止めるのではなく、石を引っかける独自の工法を考えだし、これにより、安価にすることを可能にしました。しかも石葺きのすき間を利用して、屋根部の熱を自然の風力で強制換気することで、従来の屋根以上の涼しさを実現。さらに、天然石だから、一切メンテナンス不要です。それが省エネ屋根システム「クールーフ」です。自然な美しさと耐久性を兼ね備える天然玄昌石を使用しているので、生産するのに二酸化炭素を排出せず、再利用ができ、残材は土の中へ戻せる。こんなエコロジーな材料を使って、親子代々にわたり再利用していけば、使い捨て日本を変えていけるかもしれません。 |